昨年の9月の逮捕であったろうか。それから再逮捕,起訴,追起訴と続き,昨年の12月末期ごろまでに起訴を終えていた。当方は,捜査段階から全面否認であった。そして,これが公判前整理手続きに付されてやっときょうが第1回の公判手続きで,検察官側証人2名の証人尋問が行われた。2人合わせて検察官の主尋問時間は予定の60分より少なく,40分にも満たなかった。これで検察官の立証を終えて,次回は被告人質問で証拠調べを終える。8ヶ月ほどの時間をかけて公判前整理手続きをして,しかもなされる証拠調べはこれだけである。逮捕から1年以上も過ぎて初公判なのだから,今回の手続きにはおおいなる疑問を感じる。
争点が多岐にわたっていたのか。そんなことはない。横領の事実の有無につきる。検察官がやたらと証拠の整理のための時間をとっただけと結果的に思わざるをえなかった。検察官の証人も結局は相矛盾する証言を述べていたに過ぎない。被告人は逮捕されていた間に,職を失い,ローン支払い中であったマンションは競売になった。たとえ,自由になったとしても帰る家はなくなった。すでに刑罰以上に制裁を受けてしまったといえる。腑に落ちない刑事事件である。