司法修習担当辞令

2009年10月30日

弁護士経験10年を経過するころから,司法修習生の修習担当を引き受けることになる。以前は,一人の修習生に2名の弁護士がついていた。4ヶ月間を引き受けることになっていた。そして,10年間担当すればたいていお役ご免になっていた。しかし,司法試験合格者が増加し,司法修習生が増加すると10年で終わることができない。昨年がきっと最後で今年こそはお役ご免であると思っていたが,きょう司法修習担当を委任するとの辞令を受け取った。事前の意向調査でも,もう責任は果たしたと思えるので,どうしても人員が不足する場合のみ引き受けるとの回答をしていた。

もう,絶対に引き受けることはないことを明言しておくこともできた。しかし,そうすることには大きな抵抗感があった。それでもすごく負担に感じるようになったので「どうしても人員が不足するばあいのみ」担当するなどと条件をつけたのである。私自身が,司法修習制度のなかで先輩弁護士の司法修習を受け,法曹として育てていただいたので,この恩はきちんと返していかなければと思うからだ。実務修習のなかで,法曹としての魂を育てられていく,その過程は大切にしなければならないと思うので,あっさりと後輩の司法修習を絶対にやらないとは言えないのである。

しかし,来年からは司法修習生の給与は貸与制となる。つまり,司法修習は自分の職業訓練のために行うのであるから,国が給与を支払うべきではないというのが基本的な考えとなったのだろうか。国の司法制度を担う人材を養成すると言う理念が見えなくなる。そうであれば,何も苦労して後輩の面倒を見る必要はないという論理になってしまう。そうさせないためにも,後輩を育てる司法修習を充実したものにして,弁護士会がこれを十分に担っていかなければならない。そんな気持ちで司法修習生を受け入れる,受け入れなければならないと思うのである。

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