立命館大学であった消費者法学会にでていた。午前10時から午後5時30分までのタイトでハードなスケジュールであった。
現在,民法の前面改正作業が検討されている。民法は,刑法典と同様,ほぼ100年間、これだけの経済状況の変化があっても大きな改正がないまま使われている。刑法典はドイツが,民法典はフランスがそのモデルとなって制定されている。民法の債権法の部分に関しては、すでに学者グループから改正案が示されていて、法制審議会にかけられればすぐにでも改正が実現しそうな情勢となっている。今回の学会のテーマは,債権法の改正と消費者法との関連はどうあるべきかの議論である。
もともと民法は,抽象的な独立した人を権利主体と想定しているが(歴史的にいえばフランス革命以後に形成された自己の確立されたブルジョア階級を対照とする),そうではなく現実に契約の当事者として生きている生身の人を「人」として捉えて立法すれば,消費者契約法などの基本的な部分は民法に統合されるべきであるという議論につながり,一方,「人」に統合されない消費者としての特殊性を強調すれば,決して民法に組み入れることができない部分があるとする議論の対立である。どの考えに立脚するにしろ,今日の出席者は,どのような法体系をとるのが消費者の権利保護,権利実現に資することになるのかという目的は同じである。昨年の1回目の消費者法学会からまだ1年であるが,2百名以上の参加者が見受けられ,この分野の研究者の多いことに驚かされた。
来年は,明治大学で、団体訴権などの被害者救済制度をテーマに開催される予定である。これもまた楽しみにしておきたい。