きょうは,当番弁護士であった。朝一番に前日担当者の留守番電話を確認。昨日は1件もなく平穏に終了していた。そしてこのときまではまだ何の連絡もはいっていない。きょうもこのままそうであってほしい。どきどきしながら1日を過ごすことになる。
ところが,午前11時ごろ,休日対応の大阪の法テラス事務所から被疑者国選の依頼があった。やはり何もなしではすませてもらえない。午後3時の段階で他にはそれまでに出動要請がないことを確認して被疑者が勾留されている市内の警察署に接見にでかけた。法テラス事務所から送付された資料によると無職,住所も不定でスーパーからの万引き事案である。刑事事件としては単純である。今後の手続きもあまり負担は予想できない事案であると考えられホッとした気持ちで警察署(代用監獄)にでかけた。
接見室にはいるとジャージーを着た60歳は越えていると思えるやせた人が座っていた。接見室の通話のできる窓で顔をあわせるや「先生,久しぶりです。先生が国選弁護人と聞いてびっくりしました。○○です。」と一気にしゃべってくる。顔を見ているうちに思い出した。もう20年以上も前に民事事件の依頼のあった人である。しっかり者の奥さんと小さい子ども3人ぐらいと当初相談にきていた。その人である。事情を聞くともうかなり前に離婚をしたとのことである。そして,いまやホームレスになってしまい,野宿生活者支援の会にお世話になっているとのことであった。私もこの会には関係していて,年に数回は炊き出しのカレー作りに参加している。彼もこのカレーを食べていたのである。今の状態のまま子どもたちの前に姿を見せるわけにはいかないと年金とアルミ缶集めをしながら野宿生活を続けている。一緒に相談に連れてきていた子どもたちは全員成人に達していて既に結婚をしているとのこと。当番弁護士のこのときに,たまたま法テラスの要請ででかけたかつての依頼者の全く想像つかなっかた姿をみることになるとは,,,,。