1989年は,いろんなことで記念すべき年であった。バスチーユ牢獄へ人々がなだれ込んだフランス革命から200年,明治憲法ができてから100年,平成の年が始まった年でもある。そして,その年の11月9日にはベルリンの壁が崩壊し,米ソの冷戦に終わりを告げたときであった。きょうは,ベルリンの壁が崩壊して20年を迎えたことになる。昨日は,WOWOWで冷戦に終わりを告げることになるまでの歴史的事件を背景にしたCIAの活動がテーマの映画を観た。きょうは,NHKで壁崩壊の特別番組を観た。
壁崩壊から数年経過したころベルリンに行った。東の人たちと思える人が,ブランデンブルグ門の辺りで段ボール箱の中にコンクリートの破片をいれて観光客に売っていた。必要のなくなった東の軍人の階級章や制帽なども売られていた。コンクリートの破片は,壊された壁の破片である。一方にはペンキの跡が見られてた。この破片からも東と西の違いを想像させる。西にはベンツが走り,東ではトラバントという黒い煙とオートバイのような音を立てて走っている車があった。壁博物館では,東から命をかけて脱出を試みた人々の歴史が展示されていた。日本のスナックのような若者が集まるところでは,失業者があふれていた。それでも,学生たちはそこでナチの戦争責任論を大きな声で論議していた。そして,数年前には,この壁崩壊のおおきなきっかけとなったライプチヒのニコライ教会にでかけた。教会を戦車がとりこかこむなか,1989年10月,多くの人々がろうそくを手に持って静かなデモを始めた。戦車はその砲身の向きを変えて撤退した。この動きはベルリンに繋がり,歴史が大きく動いた瞬間である。このニコライ教会は,ルターの宗教革命がおきたところでもある。そのときから500年の年月を経過していた。ベルリンは,動いている歴史の大きさを体に実感させてくれる街であった。