平成10年に年間自殺者3万人を越え,その数字は昨年までも11年間同じ水準を保っている。10万人に24人という割合である。岡山県でも平成8年頃から増加傾向にあり,年間350人から400人が自殺しているというから,思いの他その人数は多い。しかし,平成20年の自殺率は,全国平均24に対し,岡山は19,7というから,かなり低い地域であるといえる。きょうは,「自死対策について」の研修会があり,いろいろと考えさせられた。
考えてみると,自殺者の情報はわれわれ周辺ではよく接しているのではないかと思う。家族の債務整理を依頼され,その整理をしているうちに本人が自殺したことがあった。あるいは,相談している内になんどか自殺の話をする人もいたりした。その時は自殺しなくても,自殺のハイリスク者といえ,自殺に極めて近い位置にいる人であると言えるそうだ。カルトから脱会したあとに相談を受けているうちに自殺した人もいた。法律事務所は,基本的に問題を抱えている人がこられるので,自殺へのハイリスク保持者の割合が多いと覚悟しなければならない。そうであるからこそ,相談の段階において,その信号を見極め,自殺へのいたらないように相談を受ける者も良くみきわめなければならない。
周辺(家族,地域,所属集団など)に自殺者がいると,その周辺の自殺率が高まるようである。これを逆に考えると,一人の自殺を防止することは,その周辺の多くの人の自殺への危険を防止したことになる。相談を受ける側としての責任,役割の大きさを改めて自覚させられた研修であった。