17年前に作成した契約書

2009年12月4日

午後の日程は,1時30分から午後5時までの集中審理の尋問があった。この事件では,17年前に作成された契約書の解釈が問題となっていた。これは当時の相手方弁護士が作成したものとして法廷にでてきた。その内容を説明するために担当した弁護士ではなく,当時の法律事務所の事務員が相手方の意向に従って証言していた。弁護士本人からは決して意に添う証言が得られないと思ったのか事務員がその弁護士の承諾をえないまま証言をするのであるからかなり変則的である。

そうして,だされた契約書は,実は私が作成したものだ。当方の依頼者から相談を受け,相談者の意向がどのような表現にすれば実現するかその方法について相談を受けていたのである。相手方から,当方の意向に添うようにしたいが,それが法的規制のなかでできないと当方側に説明していたので,そのできそうではないという認識に立ちながらもその可能性を追求することの約束をとりつけた内容の契約書である。一応の内容の契約書を作成し,それを当方の依頼者に渡し,あとは本人の直接の交渉に委ねていた。そんな契約書が相手方弁護士が作成した契約書として法廷にでてきたのである。17年前の私の作成した契約書がでてきたのであるから,複雑な法律関係をどのように整理するかなど検討した経過を思い起こされていた。契約書に印字されたフォントもなんとなく古めかしく感じる。A4版ではなく,B5版である。書式は,当時としてまだめずらしく横書きにしていた。

論点ではなかったが,尋問のなかであとは私がその契約書作成の時にいたかどうかが私の認識と異なった証言を法律事務所の元職員はしていた。実際に作成した契約書のとおりに契約時に手続きがなされてないなど,契約書作成日と契約日は異なっていることが明らかである。私にも当方の依頼者も立ち会った記憶はない。しかし,争点そのもではないにしても,私の記憶と異なることを証言されることは気持ちのいいものではない。

そんなに緊張した尋問ではなかったのであまり疲れることはないはずであるが,それでもこれだけ長時間の尋問があると気分的に疲れた。5時終えて事務所に帰っても新しい仕事にすぐにつく気になれなかった。7時からの市民劇場の観劇にでかけた。角野卓造主演の喜劇であり,悲しくもおかしいドラマに大いに気分転換を果たすことができた。

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