拘置所に接見にでかけた。受付で接見申し込み手続きを終えると,「マスクは義務です。着用していください」とマスクを渡された。これから接見室にでかけるのであるから,人があまりいるところではない。待合いで同僚弁護士数名に会うかいなかである。接見室は,間仕切りで被告人とは遮断されたまましゃべる。着用が義務だと言われたが何のためのものだろうか。我々が外部から刑務所にウイルスを持ち込むことを防ぐためだというのだろうか。先にはいっていた弁護士にも渡されていたと思われるが,着用はしていなかった。目的のわからないマスクの着用義務である。目的,その効用が明確になされないまま,マスクがいたるところで使われている。マスクの使用について,医学的見地からその使用する目的,効能と使用する明確な基準でもでないものだろうか。今年の春のマスク姿の異様な光景はなんだったのだろうか。
今日の接見は,ホームレスの窃盗事件についての公判準備のためであった。私のよく知っている公園で日々を過ごしていた。その公園では,前から住み着いている人がいて,公園をいつもきれいに掃除をしているなどと言われていた。どうもその人が,きょう接見した被告人だったようである。食べ物の残りを野良猫に食べさせていて,その被告人に何匹も野良猫がなついていた状況であったようだ。万引きした商品のなかにキャットフードがあった。野良猫に与えるつもりだったのだろう。この人にとっては,なまじ執行猶予がつくより,実刑になって寒い年末正月を刑務所で過ごすことの方が幸せなのかもしれない。