それでも捜査の可視化に壁

2009年12月8日

日弁連にきている。今年最後の会議であり、忘年会をかねて会議終了後に委員の懇親会があった。そのため、きょうは東京泊である。明日一番で岡山に帰る必要があるため、羽田に宿泊している。

捜査の可視化は、裁判員裁判がはじまったことで一気に多くの人の関心を呼ぶようになった。数々の冤罪事件は、すべて虚偽自白があったことを忘れてはならない。足利事件の菅谷さんの場合も自白によって有罪とされ、刑の執行までなされてしまっていた。捜査が可視化されていれば、防げた冤罪事件である。少なくともこうした事件に関して虚偽の自白かどうか裁判の段階で検証が容易になされることができる。民主党は野党の時代に参議院にすでに2度も捜査の可視化法を提案していて、先の衆議院選挙のマニフェストにも記載されていた。そうしたなかで、捜査の可視化は速やかに実現されるものと思っていた。

ところが、政治の世界はそう簡単ではない。国家公安委員長は、捜査の可視化がなされれば、捜査官と被疑者の信頼関係が阻害され、捜査ができなくなってしまうので、おとり捜査とか捜査機関による盗聴などが認められることとセットでなければ、受け入れられないというのである。いろいろと駄々をこねている亀井大臣もそのことを強く主張しているようである。日弁連が人権侵害ともなりかねない捜査手法を認めて捜査の可視化実現を認めることがあってはならない。しかし、司法取引、アレイメントの手続きなど提案されている内容には検討に値するものもある。しかし、それらは決して捜査の可視化とセットで検討されるべきものではない。きょうは、こうしたことも議論された。執行部も、立法問題に関しては、政治の現実と向き合っていかなければならない。政治の世界を無視しては成り立たないだけに、日々動いていく政治との距離を見計らうしぶとさも必要かもしれないが、これが我々がもっとも苦手としていることである。 

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