野宿生活者の事件

2009年12月11日

野宿生活者の窃盗事件について,公判があった。1万円少々の商品をスーパーから万引きしようとして捕まったという事件である。商品は返されているし,年金の受給が手違いで受給できなく,途方に暮れて犯してしまった犯罪である。ほんとうに反省している姿がみられ,野宿生活者ではあるが再犯のおそれはないのではないかと思わされた。

裁判官からもいろいろと質問がなされた。このまま社会にでて寒い冬は過ごせるのかとのいたわりの気持ちからのようであった。70歳にもなる被告人は,「大丈夫です。昨年の冬も野宿生活で過ごしました」といい,寒ければ野宿生活を支援する会の人たちから毛布を支給してもらえるし,使い捨てのカイロを使うこともできるし,1ヶ月6万円程度の年金があるから大丈夫だとはっきりと答えていた。裁判官は,寒さは大丈夫かの質問に大丈夫であるとの答えではあるが,またまた野宿生活に戻らなければならないのかと今後の被告人の生活に展望がみえないことを考えたに違いない。確かに我々もそれ以上手をさしのべることはできない。6万円の年金があるからといっても,敷金を支払って住居を確保するほどの余裕はなく,家が確保できても家賃を支払えば,食費にも事欠く生活になっていくのは目に見えている。この年での野宿生活からの脱出はなかなか苦しそうである。

求刑は,罰金20万円である。とても支払えない。罰金の支払いに代えて,労役場留置となるであろう。その方が,この寒空で冬を過ごすよりいいかもしれない。どんな刑がいいのか,この被告人にとっては,重い方がいいのかもしれないと考えもしたが,やはり被告人は当然ながら量刑は軽くなることを期待していた。やはり,刑罰としての身体拘束の不名誉は受けたくないという誇りだろうか。

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