日弁の会長選挙

2010年1月6日

今年は2年任期の2年目であるので日弁連会長選挙がある。東京弁護士会から2名の有力候補が立候補するということから,関心を呼んでいる。その一方の候補者と目されている方との懇談会が岡山弁護士会でもたれた。信頼のできる同期の弁護士が随行してきていたことなどから私もこの会に参加した。もう一方の立候補予定者は,いまや「貧困問題」でクローズアップされている宇都宮健児弁護士である。

宇都宮弁護士とはいろんなところで接点がある。アメリカの消費者教育の実情調査に一緒した。実はこの時は私が調査団長兼ツアーコンダクターだった。20年前に消費者庁構想を打ち立てた人権大会のシンポジュームの内容を「消費者に武器を」という本にまとめ,その時の宇都宮さんが編集長で私も執筆を担当した。その後も宇都宮さんの活動にはいつも尊敬しながらみつめてきていた。その彼が,日弁連の会長に立候補するというのだ。本来であれば,この彼を率先して応援すべき立場なのかもしれない。

しかし,諸手をあげて,彼の応援をすることには躊躇を感じている。彼はまさに「貧困問題」のスペシャリストではあるが,さまざまな課題を抱える日弁連のテーマに関してはほとんど無関心で過ごされてきた方だ。日弁連全体をまとめて,さまざまな問題に適格,迅速に対応できる経験を持ち合わせていないことが欠点である。その意味では,今日会った候補予定者は,しっかりとした経歴をもち,日弁連の活動実績を有している方である。話す態度も誠実な方であることをうかがわせていた。

先に来た宇都宮弁護士,こんどきた山本弁護士とも,今弁護士会内で最大の関心事である法曹人口問題に多くを費やして語っていた。法曹人口問題は,人権の保障がどのようにあるべきなのかその根幹をなす問題で重要な問題であるが,「食えるか,食えないか」というレベルの問題で論議が周辺でなされている。まさに内輪の問題として論じられていることに問題がある。どのような司法を目指すのか,そのなかで我々はどのような役割を果たすべきなのか,その場合の弁護士人口はどうあるべきなのか,そんな観点で論議が進められることが必要なのではないかと思った。今日の懇談会で,最後の発言者として指名をうけたので,司法改革の歴史を学びながら,我々の目指すところを具体的に指し示して,日弁連外部の人にも日弁連の役割を発信できる選挙戦であって欲しいとの意見を言った。法曹人口急増のなか若者の気持ちを掴まなければ当選が危ういという状況が,少し選挙戦をいびつなものにしてはいないだろうか。明日が公示日とのことである。

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