賃金仮払い仮処分で和解

2010年1月7日

きょうから事務所の仕事始めであった。事務所には1日から年賀状を書いたり、机上の整理など連日一度はでかけていたが、スタッフ全員が揃っての仕事始めにはやはり新鮮な気持ちを感じる。ところが、きょうは午前中から、昨年12月終わりに起こしていた広島地裁福山支部での賃金仮払い仮処分申立事件の第1回審尋期日がはいっていた。数年間勤務していた会社を突然に解雇となり、その効力の有効性を争ったのである。法律的にはいろいろと問題を抱えていた。労働契約はどの範囲で成立していたのか、業務命令はあったのか、雇用から解雇に至るまでの条件の経過の事情を解雇権の濫用と認められるかなどであった。仕事始めとはいいながら、私は事務所に寄らず、直接福山支部へ車で出かけたのである。

出かけてみると、相手方に弁護士がついたとの連絡があり、審尋が始まる時間の直前に答弁書、証拠書類などが提出された。まだ裁判所も相手方弁護士にも年始めで時間的余裕があったせいか期日は変更されることなくそのまま開かれた。裁判官はきちんと名前を名乗り、しかもざっくばらんではあるが丁寧に当事者のいうことに耳を傾けていた。そして、ひととおりの問題意識が裁判官から示され、双方に和解の打診がなされた。ある程度予想された展開ではあったが、急遽、依頼者との打ち合わせの時間をとってもらい、和解について協議した。和解の方向で解決する旨の方針をかため、何度かのやりとりの後に、和解が成立した。当初から事案が複雑で解決までに時間がかかりそうだと思っていた事件がある程度満足できる条件で和解となって決着をみた。気持ちが軽くなって事務所に向かった。1年のはじめから一仕事ができたという充実感がある。しかし、お昼も過ぎて、スタッフの皆さんに対して間が抜けたように事務所にでかけて「本年もよろしく」との年始の挨拶であった。

この事件は、公共事業の減少で、会社が営業不振となり大幅な給与のカットなどが背景にあった。そして、解雇撤回、任意の退職という和解は成立したものの、再就職先は簡単には見つかりそうにない。今のこの社会のもつ状況をそのまま反映している事件ではあった。

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