欠陥

2010年2月11日

トヨタがプリウスのブレーキシステムに不具合があるからとリコールを決定した。

平成6年に製造物責任法が制定され,製造物に欠陥があることを証明すれば故意,過失を問うことなくその欠陥によって発生した生命,身体,財産上の損害に対して賠償請求できることになった。アメリカから遅れること30年以上も経過してのPL法であった。今回のブレーキの不具合が欠陥なのかどうかが問題となる。このような欠陥の種類を分別すれば今回の場合は「設計上の欠陥」に該当するか否かである。トヨタは,欠陥とは認識してなく,欠陥ではないがリコールするとの判断である。しかし,この不具合を原因とすると思われる事故も発生している。この事故を原因とするPL法に基づく損害賠償請求でもすれば,その法的評価がなされるであろう。ブレーキシステムが利用者にとって不安を生じるようなものであればこれは欠陥ではないかと思う。一定のスピードのでる自動車のブレーキに不安があるのは,そのこと自体を欠陥ととらえるべきではないかと私は思う。

米国でも既に事故が起きているようである。米国では,欠陥が証明されれば,損害賠償額は,その当該人の損害だけに留まらない。損害に注目するのではなく,その欠陥を放置することによってどれだけ利益をえたかと言う観点から損害額が定められる,いわば懲罰的賠償となっている。欠陥であるにも関わらず,欠陥ではないといいはり,あるいは問題を知っていたにも関わらず,これを秘匿していたとなるとビックリするような金額の賠償を求められる。こうした制度があるから,欠陥商品に関しては厳しい監視の目が育っている。その意味では,対応がほんの少し遅れたが,その後は速やかな対応となっていて,信頼を取り戻せる余裕がまだあると思われる。

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