自死の連鎖

2010年2月26日

今年の岡山弁護士会の5月恒例となった憲法記念県民集会のテーマは3万人が自死する社会を生存権の観点から考えるものとなっている。今日,尋問があったある事件は,若いカップルが離婚をしたものの,再び元の生活に戻るべく互いに努力をしていた際に妻が自死し,それを追って夫も自殺した事件であり,残されたその子どもが当事者となっていた。自殺は,連鎖する傾向があり,一人の自殺者の防止は周辺の多くの人の自殺を防止することに繋がるとのことである。この事件はこの自殺の連鎖をまのあたりにみたものであった。

次女がドキュメンタリー番組で取り上げていたフリースクールの主宰者も,この自殺の連鎖を子どもに対しては断ち切る思いのなかで始まったものであった。それまでの生活とは全く違ったスタイルの生活のなかで,悩みを持ち社会に適応しきれない若者と一緒に暮らしながら,その連鎖から逃れようとしていたものであった。きょうは,前記の事件の夫の父親の尋問であったが,尋問では自死の事実には触れないようにしたが,証言している間,このことを考えなかったはずはない。尋問する方がつらい思いをしながら,尋問をしていた。

相手方の反対尋問のなかで,当該事件とは全く関係のない,3年ほど前の痛ましい交通事故のことに触れられていた。自死したその夫がその交通事故を起こした人とその直前まで一緒だったことがわかったのだ。実は,その交通事故の刑事弁護を担当したのは私であった。もともと本件事件とは関連性がないと思われる事故であったので,裁判長から尋問の制限を受けていたが,思いがけないことでその事件を思い出さされていた。被害者の遺族が証言にたって,極刑をと供述した事件であったので鮮明に記憶に残っていた事件である。

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