即決裁判

2010年3月4日

国選弁護で被疑者国選,即決裁判となった事件を担当した。一種の司法取引といってもいいであろう。捜査の段階で,罪を認めて公判でも争わない意思を明確にして,検察官は執行猶予付きの求刑で,簡便な訴訟手続きで調べが行われる。そのため原則として裁判は一日で終えることができ,確実に執行猶予判決となる。県外の被告人で,同人がいないと家業が成り立っていかないという事情があり,起訴されたらなんとかして保釈金をつくり身柄をまず自由にしなければと考えていた事件であった。捜査の段階で勾留期限が迫ってきたころ検察官から即決裁判の意向打診があった。事実は間違いないことであり,確実に執行猶予判決がえられるのであるから,これに応じた。起訴されて10日目ぐらいに公判が開かれ,一日で裁判を終えることができた。そして,無事帰宅した被告人からきょう電話でお礼のあいさつがあった。このような事件においては,確実に執行猶予の判決が保障されることになるので,有罪かあるいは無罪か微妙な事件の場合,安易に有罪と認めて即決裁判を求めることがあってはならない。そのチェックの役割が弁護人に求められている。

ところで,「司法取引」に関しては,捜査の可視化による弊害の補充捜査方法として検討が始まっている。2年間の検討期間と言われているが,司法取引の是非と捜査の可視化は連動してはならない。捜査の可視化はえん罪を防ぐ不可欠なものであり,直ちに実現されなければならない。民主党は野党時代に既に2回も参議院に法案を提出していたはずである。待ったなしの状況にあることを政府は認識すべきである。

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