これもうれしい光景

2010年5月11日

来週土曜日には,例年岡山弁護士会主催で行っている憲法記念県民集会が開催される。今年のテーマは「脅かされる生存権」で年間3万人を越える自殺者がある社会の背景を考え,その問題の近くで仕事をしている弁護士として何ができるかを考えてみようという企画である。会場が自宅のすぐ側の岡大創立50周年記念会館なので,気楽に行けそうでもあり,楽しみにしている。

とはいいながら,この集会の実行委員の一員であり,今日もその委員会があった。20名ぐらいが参加していたが,私が一番の年長であったろうか。参加しているメンバーは若い世代であり,入会間もないメンバーが当日の駐車場の案内から会場準備,整理,受付などを担当している。そしてまさに中核となってこの会議を実質的に取り仕切っているのは私よりは一世代若く,その多くは子どもたちと同世代の弁護士たちである。しかし,そうした若い世代の後輩弁護士たちが,生き生きとして今回の集会の準備を担当し,熱心に役割を果たしている姿を見ていてうれしい思いがわいてきていた。私が入会間もなく,岡山で中国弁護士大会が開催され,その準備にかり出されたこと,刑法改正阻止運動の一環として弁護士会で初めての市民集会の開催に取り組んだこと,その後もこうした会のあるごとに割り当てられた小さな仕事も弁護士としてやるべきものであるとの思いで参加してきたことがなつかしくおもい起こされた。岡山弁護士会の伝統,法曹人口増加のなかでもこうした在野法曹としての役割を果たしていくという基本姿勢はきちんと引き継がれていることを実感した。

ところで,この集会で次期からの司法修習生の給費制廃止撤回の広報チラシを配布するかどうかが問題となった。司法修習生には給与が支払われる。法曹は国の責任で養成するという理念があるからだ。弁護士も司法の一翼を担う公的な職務として位置付けられる。故に,今回のような集会も会員から集めた会費のなかから開催してきている。この法曹養成のシステムのなかで,我々の仕事は公的な仕事であることを強く意識させられる。しかし,法学部を卒業し,法科大学院に進学し,しかもそこでの合格も保証されず,やっとの思いで合格しても無給の司法修習では多額の借金を抱えてしまうのが現実である。その後の仕事においてこの借金を返済することが急務となるようでは困る。こうした仕組みを一般の人に理解してもらいたいというのが今回の広報チラシである。理屈をきちんと説明しなければ理解の得られにくい問題ではある。そのための配布にあたっての危惧から少し議論になった。結果は,配布することになった。

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