LAの西海岸は美しかった。まさにカリフォルニアといった瀟洒な住宅地だったり，リゾート地だったり，どこまでも続く。かなり南下したが，その先にはまだ街があり，その先はメキシコへと続いている。太平洋はずっと先にも南北にも広がっている。その先には日本があるはずである。夜はその海に太陽が沈み，東からは月がのぼる。人の住む，大自然が伝わってくる。
さて，きょうは７センチほどの境界線をめぐって既に１年あまり係争している事件があった。今日こそは，最終決着が得られる予定と考えていたが，当事者の疑心暗鬼のなか解決は次回に持ち越すことになった。狭い国土のなかのお隣同志の小さな紛争である。しかし，当事者にとっては決して小さくはない大事件なのである。互いの納得をえるためにさらに次回に期日がはいった。
数十年ぶりに会った同級生の相談であった。いっしょに学んでいたころは，文学青年のイメージをもっていたが，少なくとも私よりは年老いてみえた。数千万円の詐欺事件の被害相談であった。最近よくあるタイプの被害事件であったが，この年になってそんなに大きな資産を失うことの影響は，大変なことであると思う。騙されたことを恥じていたが，それでもなんとかしたいとの相談であった。
さらに，かつての依頼者夫婦が逮捕されたとの連絡を，検察官からもらった。既に終結した債務整理事案について，その債権者の一人から詐欺ではないかと訴えられて，警察からの事情聴取，検察庁の事情聴取がなされたあとのことであった。これも突然のことであった。LAに出かけている間のことでなくてよかった。
こうして，帰国後の予定外の仕事を繰り返しているうちに，被疑者国選の指名がはいってきた。どうもただちに処理できる余裕がなく，今回はパスさせてもらった。
今朝からは，鳩山首相の辞任問題が次々と報道されている。３ヶ月ほど前，次女の結婚式に鳩山さんからは祝電を，菅さんからはビデオレターによるお祝い言葉をいただいたところであった。どうやら次期首相は菅さんへと動いているようだ。オバマ大統領の１時間近くも続いていたメキシコ湾をめぐる記者会見をテレビでみてきたところだった。日本では多くの国民が今日のニュースはみていただろう。アメリカでは，あのオバマ大統領の記者会見のニュースを見た人の割合はどのくらいだったろうか。その割合は，かなり低いのではないかと思う。
「現実」はなかなかすぐには受け入れがたいことばかりが続く。