今日は第8講

2010年6月9日

岡山大学法科大学院の消費者法の前期講義を担当している。全15講で,きょうは8講目であった。全体の半分を超えた。この講義を終えると大きな課題をやり終えた気分になる。土曜日,日曜日に準備をすることにしているが,なかなか十二分にこの日が使えないことが多く,常に頭のなかに講義をどう組み立てようかとストレスがかかり,これを終えることによって開放感を味わうことができるからだ。

今日の課題には,オイルショックのときにおきた消費者が石油ヤミカルテルを告発した鶴岡灯油訴訟についても触れた。さまざまな思い出とともに思い起こされる事件である。オイルショックは昭和48年の秋頃からのことであったと思うが,東京で後期修習に入ったとき,起案用紙の支給が制限され,廊下の電気は消されて暗くなったりしていた。冬を越す灯油が確保できるのだろうかという不安の裏側には「千載一遇のチャンス」とヤミカルテルがなされ,石油製品が高騰した事件であった。学生たちはまだ生まれていないころの話である。弁護士になって平成2年のことになると思うが,中坊先生の経営する京都の聖護院御殿荘での消費者夏期セミナーにこの訴訟の原告の方に出席してもらって,話をきいたのである。弁護士と共に闘い,最高裁で敗訴になったにも関わらず,その成果を勝ったと評価し,その嬉しさを「弁護士さんに心の花束をさしあげたい」と表現していた。今日のこの裁判の話をしているときに,このなつかしい光景を思い浮かべることができた。

この時の様子は後に日弁連から発行された「消費者に武器を」のなかに記載されている。この本には消費者庁の設置を提言する項目もあった。それから20年,昨年の秋,やっと消費者庁が実現した。大臣が替わったが,できたばかりの歴史のない省庁ではあるが,「歴史」を残し,作り上げていってほしいものである。

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