久しぶりの講演

2010年7月15日

久しぶりの講演であった。かつては,各地の公民館などでの講演を頼まれることが結構あった。最近はそうした依頼はほとんどなかったように思う。需要がないのか,若い方への交替となっているのかであると思うが,需要がなくなっているとは思えないので,きっと若い方への世代交代がなされているのだろう。県外の商工会議所からの依頼で,法律講座を担当させていただいた。いままで良く経験していた教養講座としての講演とは異なって,日頃の問題を抱えてのしかも有料での講演であったせいか参加者は熱心にメモをとりながら聞いていた。3時間の長丁場なので,話す方も結構疲れる。どれくらい役立つ話になったか,こちら側が心配になる。

今日のテーマは契約に関してであった。契約はまもらなければならないし,そうした契約をどのようにして確実なものにするかということがテーマであった。話をしているうちにふと思い浮かんだ条文の話をした。契約はまもらなければならないが,法律でまもらなくてもいいと書かれている条文のことである。このようなことは触れる必要もないことであるが閑話休題のつもりで話した。夫婦の間の契約はいつでも取り消せると民法には書いているのである。つまり,うまいことは言いたい放題で都合が悪くなればいつでも取り消せばいいのである。しかし,現実はそうは甘くない。最高裁判決は,この規定が夫婦が仲が良いときにのみ適用となり,中が冷え切っているときは適用されないという判断をだしている。当たり前と言えばあたりまえだろう。味な判決だとはいえるが,なかが良いときの規定が果たして必要なのか,そんな規定をわざわざおいたのはどんな意味があったのだろうかとの疑問がわく。さて,もう一回の講座が予定されている。こんどは事業者の方々にとってはすぐに役立つことをはなさなければならない。法科大学院の講座の準備も気を使うが,お金を払ってしっかりと仕事に役立てようと真剣に聞いている人が満足できるものにしなくてはならないと思うとちょっと重荷である。ちなみに,今日の参加者には満足度調査のアンケート用紙が配布されていた。いつの間にか評価される側に立たされていたわけだ。

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