法テラス

2010年7月31日

昨日ときょうは法廷事件がなかった。裁判所も夏休み体制にはいっていて,開廷されている法廷が半減されているからかもしれない。午後は法テラスの審査を担当していた。法テラスに援助のある申し込み案件について,2名の審査委員でその可否と援助金額を決定するのである。法テラスの申し込み件数も増えてきているようであり,いまから申し込んでも,空いている審査委員会までたいてい1ヶ月以上の期間を空けることになる。かなり浸透してきたようで,私の事務所へも最初から法テラスに援助を申し込みたいとの趣旨を明らかにして,相談に来られる方もいる。

今日の審査案件は留学生の交通事故,離婚関係,多重債務問題とまさに世相を表している内容であった。法テラスの扱い事件数が事務所としても増えてきていることを実感するが,それだけ社会のニーズに応えられていることではないかとも評価できるのではないかと自己満足している。こうした光景をみているとフランクフルトの弁護士会に調査にでかけた時のことを思いだす。ドイツでは法律扶助制度が発達していて約6割の国民が利用できる制度となっている。つまりかなり一般的に利用されているのである。この援助金額は,医療のように点数化されて計算される。弁護士会の大きな仕事の役割は,この単価の値上げを勝ち取ることのようであった。その分,覇気を感じなかった。権力から独立して職務を全うするために戦う弁護士会ではなく,同業者の利益擁護団体のように感じられたのだ。もっとも日本の弁護士制度が世界的にみれば特異性があるといわなければならない。つまり,法テラスの事件が増加して一般化してくれば,法テラスの報酬基準が一般化し,その単価を上げるのが弁護士会の役割などとなってしまうことにはなって欲しくないと思うのである。法テラスが一般化していくことは歓迎するが,そうなることによって,弁護士の報酬を事実上決めて,弁護士会がその基準単価をあげる運動するだけのものとなるような有様だけにはなってはならないと,ふとかつてのフランクフルトでの嫌な感覚を思い起こされるのである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年4月
    « 5月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930