番町交差点は鬼門?

2010年10月22日

私の事務所は裁判所前の番町交差点を隔てた斜め向かいにある。裁判所,弁護士会の往復にはこの交差点を必ず通る。この交差点で信号待ちをしていると通過する車がプップーとクラクションを鳴らし,大声で「河田先生〜」とか,自転車の人から声を掛けられたり,すれ違いざまに「お久しぶりです」とにこやかに挨拶を交わされたりする。長年,弁護士をしていれば,知り合いになるひとの数も多く,こんなことをよく体験することになる。しかし,そのほとんどの場合,私には誰であるか,どこで出会った人か思い出さないことが多い。しかし,とりあえず,にこやかな挨拶に対しては私もにこやかに返しておく。どうも私は人の顔を認識する能力が劣っているようである。妻は,私が出会った人の顔を覚えるのが苦手なことを良く知っていて,絶対,政治家には不向きだという。その不向きな私が一度だけ,選挙なるものに関わることがあった。その上,ここ1年ぐらいは,よく知っている人さえ,白内障で向かいで信号待ちの挨拶をして頂いていても誰であるか判別できないでいた。この問題だけは,今年の夏に解決すみではあったが,ここは,私にとっては鬼門の場所なのである。

先日,所属する国際奉仕団体の例会でゲストスピーカーの話を聞くことがあった。事前に知らされたテーマから興味があったので,妻も誘っての参加でであった。会場に着いて,すぐさまそのゲストに紹介された。そのゲストは,とても懐かしそうに前に私のところに相談にきたことを話して自己紹介をした。残念ながら私は,その時のことを覚えていない。何の相談であったか,どんな話をしたか本当に記憶がなかったのである。そのスピーチのなかで,私のところに相談にきて,私との会話の内容まで詳しく触れられていた。鬱状態のときに私のところに相談にきたようである。そして,私からの話は「それでは,これから何をしようとしているのですか?」との問いかけであったとこと。その問いかけがきっかけとなって今の仕事に就いているとの話。記憶にはなかったが,私との相談結果は悪いことではなかったようで,ひとまずは安心であった。たくさんの相談のひとつひとつをそんなには覚えられないものだとは思いながらも,顔をみても気づかず,内容を話されてもピンとこないとは,,,,。自分ながら信じられない。

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