大原美術館

2010年11月2日

昨日の日曜日,倉敷に行ったついでに久しぶりに大原美術館にでかけた。大原美術館開館80周年記念の特別展が開かれていた。最初に行ったのは母に連れられて小学生のころであった。モネ,ピカソ,ルノアールといった名前はそのとき初めて耳にした。いくつかの絵はその時の記憶とともに残っている。中学校の美術の教科書に,当たり前にに大原美術館にある絵やその作者の作品が載っていた。とても,そのことを身近に感じたものだ。それが,当たり前だと思っていた。その後もときどきは大原美術館にでかけていた。倉敷の裁判所が午前,午後と重なるような時の昼間,時間つぶしに観覧したことも何度かある。

改めてみてみると,近代の著名な作者の作品がきらびやかに展示されている。ルーブルやその他のヨーロッパの美術館に比べればその作品の数は圧倒的に少ない。しかし,これほどまでに珠玉の名作を1点,1点展示されているところは他にはない。そう思ってみると,本当に素晴らしいものが倉敷にあるのだと改めて認識した。そうした近代の作品のなかに1点だけ古い時代の宗教画がある。エルグレコの受胎告知である。キリスト教文化とともに発展してきた中世のヨーロッパでは宗教画はなくてはならない時代があり,多くの宗教絵画が残されていたのも関わらず,この1点だけがこの時代のものとしてある。これを集めた児島虎次郎はどんな思いでこの1点の絵画を購入したのだろうか。

雨の倉敷であった。公開されていた有隣館からみえた大原美術館の建物は,エンタシスのふくらみがはっきりと見え,時代を超えてそこに誇るように存在する姿がこれまた美しかった。

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