日弁連の会議にでていた。司法改革実施対策会議の正副事務局会議であった。いつものとおり、新橋から歩いて日比谷公園を渡って17階建てビル日弁連会館のある霞が関に行く。日比谷公園にはいるとすぐに日比谷公会堂がある。この日比谷公会堂で今日は何か催しがあるようで、警備がものものしく、来賓受付などと大きく書かれた看板などが見えた。あえてそこを避けて通ったが、帰りにはその会場入り口の前を通り抜けた。黒服の異様な雰囲気の人の集まりで、集会の後片付けを行っていた。
集会の看板を見ると「山口二矢烈士50年〜記念の集い」とかと書かれていた。そうだ、50年前のことだったのだとあのテロ事件を思い出した。日本社会党の党首であった浅沼稲次郎が日比谷公会堂で演説中に当時17歳の少年山口に刺殺されたのだ。その演説会の様子はNHKのテレビで中継されていた。私は、その日、プロ野球の日本シリーズがあった日で、急いで学校から帰り、野球中継をみようとテレビをつけた。ところが、そのテレビはテロ事件のあって騒然としている会場を映し出していた。そのとき、まさに事件がおきていたのである。その少年は、拘置所で自殺した。その事件のあった日比谷公会堂で、事件を起こした関係者がそのことを誇るがごとく、集会をしていたのである。日本は、本当に自由の国だ。いや、こうした自由は、案外、真の自由を訴える人立ちよりは保障されているのかもと思ってみたりもした。そういえば、今日も日本シリーズをしているのでは?
テレビは、時として、重大な事件現場を、目の当たりに見せつけてくれる。昭和60年6月17日?の豊田商事の永田社長の刺殺のときもそうであった。ニューヨークの世界貿易ビルの崩壊は、まさにライブの中継中であった。最近のチリでの救出は、全世界の人がその一瞬を体験した。歴史の体験を生でしている。情報がふんだんに飛び交う中、その意味を歴史的に見つめ、考えることもおろそかにしてはならないと思う。