空白感と怒り

2010年11月12日

久しぶりの医療過誤事件について相談があった。症状を訴えて診察を受け,簡単な手術との説明で翌日すぐに手術,術後に診断とは異なる手術がなされたとの説明に何がおきたかわからないまま家族はいったん帰宅,そしてすぐに緊急呼び出しが病院からあって亡くなってしまった。その原因については何の説明もない。手術の前日まで,元気に生活していた人が突然に手術によって死亡してしまった。家族の人々の空白感が一定の期間,その思考をとめていたようだ。しかし,その空白感を埋めようとするかのように怒りがわいてきているようだ。同種事例を探したり,この分野の医療水準を知るべく,調査を始めた。早いうちに法的手続きにはいりたいと思っている。

津谷さんの事件こそ,家族のこの空白感は大きいであろう。死の瞬間までその場所での充実した家族の生活が存在していた。家族への危害から守ろうと必死で犯人と津谷さんは戦い,その姿を目の前でみていた。その人が一瞬のうちに命を奪われたのだから,この死の事実はとうてい受け入れがたいものだと思う。怒りを遙かに超えた感情があると思える。そんななか,葬儀の際には息子さんが参会者の胸を打つ立派なご挨拶をされたようである。警察の捜査に対する姿勢も問題になっている。家族の言いしれぬ空白感を癒す意味でもしっかりと検証をし,責任の所在を明確にしてもらいたいものである。昨日,岡山弁護士会でもこの事件に関して会長声明を発表した。

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