久しぶりの保釈

2010年11月25日

司法試験受験にあたって,刑事訴訟法を選択し,民事訴訟法はほとんど勉強していない。司法修習の終了の最後の口頭試験で民事訴訟法において「請求の基礎」という言葉がでてこなかったものだから,相当にあせった記憶がある。大学においても刑事訴訟法のゼミをとっていた。刑事科目は好きであった。弁護士になっても日弁連の活動のなかで刑法学会に所属することにもなった。しかし,実務では刑事事件をめったに扱わない。刑事事件の感覚だけは忘れたくないと,国選事件は担当してきている。そんなこともあって,保釈請求を扱うことがほとんどなくなっていた。

きょうは,休日前に保釈請求していた事件で保釈決定があり,保釈金を納めて,釈放となった事件があった。起訴になったばかりであり,第1回公判前の事件である。6年ぐらい前までは,第1回公判前であって,未だ罪状認否がなく,検察官の証拠請求についてすべて認めるとの意見をだしていない段階では,証拠隠滅の恐れありと保釈請求が認められることは皆無といって良い状況であった。刑事司法が大きく変わっていくなかで,こうした状況に少しづつであるが変化が現れたように思われる。今回の場合も親族には,本来は保釈は認められるべき事案ではあるが,実務的には50%の可能性であると応えていた。普通には,客観的証拠は既に集められていて,変わるとすれば,自白の撤回があるぐらいのことなので,証拠の隠滅の恐れとは,裁判所で争わないことを指すぐらいの意味しかないからである。それでも認められることが少なかったのである。今回の司法改革で刑事司法は裁判員裁判が導入されるなどダイナミックに変化があらわれた。それに比べて,民事司法の分野では,労働審判制度のヒット商品はあったが,ほとんど改革がないまま終わっている。ここに,今後,日が当てられなければ,民事司法のおもしろみが生まれない。

保釈がなされて、本人は家族からの差し入れを事務所に取りに寄った。私は、会ってはいないが、自由の空気のありがたさをいっぱいに感じていたに違いない。当たり前の手続きで、あたり前の結果ではあるが、やはり弁護人としてもほっとするうれしい結果でもある。

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