正義とは?

2011年4月28日

ハーバード大学マイケルサンデル教授の「白熱教室」が話題を呼んでいる。先日、NHKで今回の大震災を取り扱って衛星中継で討論をすすめるという番組があった。一つのテーマに被爆をしながら働く原発の作業員に高額の報酬をだすことは正義にかなうかどうかとの質問がとりあげられていた。危険な仕事に従事するのだからインセンティブが働くように高額の報酬を支払うのは当然であるという考え、報酬でもって命の危険の代償とすべきではないという考えとが対立的に提起され、討論がなされていた。放射線を浴びるという非人道的な仕事に人を強いることは絶対に許されるべきではない。本来、人にやらせる仕事ではない。しかし、誰かがやらなければならない。それを高額な報酬という代価で誘うというのは正義に反すると思う。かといって、その危険な仕事に従事した以上、当然に報酬の面では考慮されるべきであろう。とどのつまり、常に被爆とは縁のきれない原発は、根底にこの問題を絶えず抱えているといえるのではないか。これだけ大きな事故となり、相当の人が被爆しながら働かなければならない状況になってしまい、被爆という非人道的なことが、軽く扱われているのではないかと思われる。

この討論のなかで、希望をみいだせたのは、この大震災で、世界の人が日本に注目し、その出来事を人類共通の出来事としてとらえ、地球市民的な感覚の芽生えがみられ、被災者の行動が新しい公共概念を発信していたと評価されていたことだ。貧富の差を問わず世界各国からの援助は、新しい「世界は一つ」あるいは共同運命体のようなものが生まれつつあるかも知れないとふと感じさせられたのは私だけではなかった。

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