住居と思い出

2011年4月30日

10年前まで住んでいたマンションの1室の片付けをしていた。近所だったこともあり、ほぼ、そのままの状態にして今の住居に移った。当初は、シンプルライフをなどと考えて必要最小限のものしか新しいところには運ばなかった。このマンションには、ほぼ20年の間、家族5人で過ごしたところである。ここにはいると、10年前の生活がそこで止まったままそこに存在する。10年前の生活がそこにあるだけでなく、20年間の生活の歴史そのものがそこにある。子供たちの幼い頃が記録されていた8ミリフィルム、学校で書いた作文、絵画、旅行の思い出の品、封を開けていないブランデー、多くの写真、、、、それらを見つけ出すごとにそのころのことが思い巡ってくる。それぞれの子供たちが泣いたり、感動したりしながら、過ごしたころを思い出す。無邪気に美しい笑顔を見せながら母親の乳を求めていた子供たちの仕草が浮かんでくる。片付けにでかけたつもりが、これを片付けてしまう気持ちになかなかなれない。

今回の大震災の被害に遭われた方々は、こうした思い出を現在の生活基盤もろとも一挙に失ったことになる。さらには、大切な大切な家族さえも失った人々もいる。その喪失感と絶望にさらされていることは、想像を絶する。こうして片付けをしているといかに物にあふれた生活をしていたか思い知らされる。そしてまた、今の自分の周りに気をつけてはいたものの、またまた物にあふれる生活に戻っていることを改めて感じさせられた。10年前に残されていた衣類、約50キロをリサイクルショップに処分した。

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