岡大ロースクールでの消費者法の今期最後の講義であった。全15講で最後は宗教トラブルと消費者問題がテーマである。このテーマは私が長年、追い続けているテーマのひとつであり、材料だけは豊富に持ち合わせている。あれもこれも話たいと思いながら、基本判例の紹介と数例の事例の紹介というありきたりの内容で90分があっというまに過ぎてしまう。しかし、青春を返せ裁判は、私の人生の中でも思い出深いものであり、判例百選にも掲載されているものであって、これに触れない訳にはいかない。この判例を振り返るだけでも勝訴判決を法廷できいたあの感動がよみがえってくる。しかし、講義においてはあの感動を伝えることはとうていできなかった。
今日が、最後の講義です。来週はテストですといって終えた。今回の講義は経済法の教授がずっと聴講していただいた。その教授が、最後に普通に勉強していれば民法などの基本法にしか触れることはできないが、具体的な事件のなかでさまざまな法律をつかってチャレンジしてく実務家の考え方に触れて勉強になりましたと感想を述べていただいた。私はその言葉のなかに「チャレンジ」という言葉があったことに講義のなかで、その姿勢を理解していただいたのだと嬉しく思った。講義の最初に、消費者法という具体的な法体系があるわけではないと話した。それでも「消費者法」を学ぶとは消費者問題の特質を理解して、あらゆる法律を駆使して、消費者の視点にたって問題解決をはかる「マインド」を取得することであると話した。その気持ちを、聞いていただいていて、感じてもらえたのだとしたら、わたしの意図するところが少しでも伝わったのだと思う。その言葉を聞いて、前期の講義の苦労も少し報われた気分である。