10年前の9月11日、私は何かの用事で帰宅が少し遅くなっていた。帰宅してインターネットを見ていた妻が突然に大変だとひとつ目のビルが狙われた事件の発生を知らせた。そのころはケーブルテレビにCNNがはいっていて、すぐにチャンネルを切り替えると2つ目のビルにまさに飛行機が突入していたときであった。世界貿易センタービルには1984年5月に豊田商事事件の関係で調査にでかけたところであり、実際にいったところのある現場で大変なことが起きていることを知って、何かしら危険が我々のところにもあるような臨場感にとらわれた感覚を覚えている。
それから半年後の2002年3月11日に家族でニューヨークに行き、グランドゼロにでかけた。このときは、セントラルステーションの構内では、行方不明者を探す張り紙が掲示板のようなところに多数貼られてことを覚えている。あれから10年、対立は深まるばかりであり、武力によるテロの撲滅は成功をしていない。このテロによる直接の被害者よりも、テロを撲滅するための戦争で命をなくした人の数の方が多い。憎しみが憎しみを呼び、そのことによって過剰な対策がなされ、そしてテロは続くという悪い連鎖が続いている。
きょうは、ニューヨークでみたあの追悼の2本の光が輝いていることだろう。何がこの事件の原因なのか、どうすれば平和が訪れるのか、未だその結論がでているわけではない。しかし、いまだ拭いがたい憎悪が双方にあり、テロの危険は現実的なものと今もあることには違いない。