2件の遺産をめぐる争い

2011年10月25日

相続に関する紛争は、まさにその人生そのものをあぶりだしていく。先日、同じ日に2件の相続問題を扱うことがあった。そのうちの1件は、既に20年近く前になる遺産分割協議の無効を訴えての裁判である。当方が原告、被告は5名である。被相続人の妻とその子5人の争いである。既に当時の遺産分割協議書に基づいてほとんどの遺産は分割されて処分されていたりしている。その遺産分割協議書の無効を訴えるのであるから、なかなか困難な訴訟である。この日、関係者の尋問がなされて結審となった。訴訟の手続き的には、原告と被告らに別れているが、この訴訟関係者の誰一人として利害を共通する者がいない。それぞれが尋問、反対尋問を行うなかで、各人の人間関係が浮かび上がってくる。まさにその人々の人生そのものが、決して同じ方向でなく法廷の中で火花を散らして行く。訴訟の行方などもはやどうでもいいかのごとく、、、、。そこには、同じ家族から生まれた人生であっても、それぞれに違って交わることのない人生が見えてくる。

そんな、尋問を終えて、ほっとしているところに遺産分割協議の相談がはいった。ずいぶんと前にある事件の相談があり、その後も時折、電話で簡単な相談やら報告などをしていただいている人であった。夫の死亡に伴い、先妻の子らとの紛争であり、ある意味よくおきる紛争のパターンである。そのパターン通りに問題が起きている。互いの気持ちがわかるというものの、その感情が極端になってくると法的ルールのなかで冷静に対応して行かなければならない。その難しさを感じながら、そしてそのことを依頼者と相談しながら、対応すべく急いで文書を作成するなどの作業にはいった。弁護士が代理人について連絡すれば、このような場合、そのことを非難する反応がまずおきる。この件もそうであった。その対応に今、追われている。

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