弁護士業界の大きな変化

2013年1月11日

昨年の12月に岡山弁護士会に新規登録した会員は24名であった。今から約40年前、私が登録したきは、私一人の登録であり、岡山弁護士会の会員は90名程度であった。そのころから比較してもすでに4倍近くになっている。ここ10年でみても約2倍に増加したという急増ぶりである。

このことによって、われわれの業務のあり方にも大きな変化が生まれてきた。法律事務所は裁判所を中心として集中して立地しているが、最近では裁判所のないところにも法律事務所が生まれている。かかりつけのいわゆる町医者が、地域の人々の健康をまもるためにあちこちにあるように法律家も身近な存在になりつつある。

弁護士のあり方の変化を違った形で、きょうは経験した。高齢者に対してリスクの大きい不適合な金融商品を販売したとして地元銀行を相手に提起していた裁判の初回期日があった。その被告の代理人席には、インハウスの弁護士と従前から顧問弁護士の事務所の弁護士が5名並んでいたのである。企業のインハウスの弁護士がいること、そしてその人が相手方代理人席にいること、さらに顧問弁護士までがいっしょになって代理人席にいることなど、こんな光景はいままで経験してこなかったことである。変わったという実感をもった。

この法廷に座ったとき、いまから約30年前にアメリカ調査に出かけたときのことが思い起こされた。メリルリンチ社の投資問題に関する顧客との紛争処理の実情について、同社で話を聞いた。そのときに、社内弁護士団と顧問弁護士団とが役割分担をしながら対応している状況を見聞し、日本との事情の違いにまずは驚いた。しかし、そのとき驚きをもってそのシステムを理解したが、いまや30年の時の経過を経て、目の前で展開していたのだ。法曹人口の増加によって、我々をとりまく法的サービスのあり方にも急激な変化をもたらしていると思われる。それを我々が欲しているかどうかを問わずである。

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