欠陥住宅

2006年7月10日

午前中は、午後からの刑務所での接見に備えて事件の記録読みをした。そして、控訴すべきか否か迷っていた民事事件に関し、控訴期限の今日、控訴の決断をして控訴手続きをした。午後からは接見と一人の知人の息子さんの債務整理の相談、そして弁護士会消費者被害救済センター運営委員会にでて帰宅。比較的単純な一日であったが、夕食後は明日の講義に備えて判例などをチェックして90分の進行を検討した。これがなかなか気の重い作業である。rnrn明日のテーマは、「欠陥住宅」である。1995年1月17日の阪神・淡路大震災において死者6400名のうちの約8割が建物などの倒壊による圧死であった。正に「夢のマイホーム」によって死という結果を迎えたのである。住宅の安全は「安全」のもっとも基本をなすものである。しかし、その後の調査結果によりこの倒壊した建物のなかには多くの欠陥住宅が含まれていたことが明らかとなった。欠陥住宅が未然に防げれば、被害は著しく少なくて済んだはずである。rnrnこの一生に一度の買い物で安全が絶対的に確保されなければならない住宅にどうして欠陥住宅が生まれるのだろうか。安全基準の強化など法整備もされてきたが、欠陥住宅はなくならないばかりか、姉歯問題など、その被害の深刻さを浮き彫りにする事件が多発している。この原因のひとつには施行業者の技術の低下がある。棟梁に鍛え上げられて育つ大工がプレハブ住宅の普及で減少し、在来工法による木造住宅の需要が減り、技術の継承が難しくなっている。もっとも問題なのは、しっかりととした建築士の独立性が確保されていない日本の制度の問題がありそうである。そんななか、安全な住宅に住む権利は基本的人権の内容をなすものであるとの考えのなか司法において消費者の権利を認めていこうとする判例が相次いででてきている。知識・情報において業者とは圧倒的に差のある消費者の権利を認めることによって、欠陥住宅がなくなっていくことを願っている。私もいま1件の欠陥住宅訴訟を抱えている。

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