ドレスデン

2006年7月7日

ここのところ、ベッドについてから眠るまでのほんのわずかの時間に「ドレスデン逍遙」という本を読み始めた。非常に寝付きがいいので1日に数ページしか読めずしかも一度読んだ所に何度も後戻りをしている。そんな私が「ダ・ヴィンチ・コード」は一気に読んでしまったからこの本の話の展開は鋭く引きつけるものがあった。しかし、今読んで(読み始めて)いる本もなかなか興味深い。rnrn1945年2月13日、連合軍(イギリス空軍)の爆撃によってバロック建物の中世の街並みがそのまま残っていたドレスデンは激しい空爆をうけ。完膚無きまでに破壊されがれきの山となった。しかしその後この街並みは元の状態に完全に復元されている。しかもそのがれき一つ一つをパズルのように組み合わせながらオリジナルに復元したのである。まさにドレスデンの奇跡である。しかし、私がこの本でまず感じさせられたのはこの奇跡のすごさではない。rnrn1945年2月は既にナチの力は急速に失われつつあるときであった。しかも、ドレスデンは歴史ある街であり、軍需産業などはなく、多くの市民が難を逃れて避難してきているところであった。そんな場所にまずは照明弾を落とし、次に爆撃目標弾を打ち込み、そこに正確に高性能爆弾を落として建物の屋根を開け、次に開いたその場所を焼夷弾で燃え上がらせ、火の魁が激しく燃え上がり、下方で多くの酸素が必要となるために風が起こり火炎となって燃え広がる。酸素不足と熱で周辺の人々は即死に近い状態で死んでいくという正に地獄の様を作り出していた。無差別の市民に対するこのような攻撃は広島に対する原爆と異ならないではないか。ナチに対する正義の戦いであったかもしれないが、その攻撃の下では普通の生活を営んでいた何万人もの人の命が一夜のうちに失われた。戦争は正義の御旗のもとに始まる。しかし、その実態は普通の市民の命が、敵のゲームを楽しむかのように高揚した気持ちによって失われているのである。爆撃を終了したパイロットたちは成功と喜び、早く帰宅していっぱいやろうという雰囲気だった(交信記録が残っている)。rnrn北朝鮮がきな臭い、イラン・イラクもアメリカの正義の御旗の振り方でいつでも血が流され、かけがえのない命が失われてしまう危機に直面している。日本も9条変えて軍備への道を歩もうとしている。ドレスデンの奇跡は数世紀前の街並みを回復させたが、突然失われた命は回復のしようがない。天文学的な数となったがれきの山を一つひとつ組み合わる途方もない作業によるこの街並みの回復にはこうした戦争への深い反省が大きな力となっているに違いない。ドレスデンのこの歴史を読みながら感じていることである。

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