尊属殺

2006年6月23日

またしても子が親を殺す事件があった。外から見る限り恵まれた家庭で素直に育った子のように見える。その心の闇に何がおきていたのだろうか。rnrnかつて、親が子を殺すよりも子が親を殺す方が刑法上でも重く評価されていた。親に対する殺人は尊属殺として常に重く罰せられていたのである。当たり前の様にも感じるが、親が子を殺すことも同様に重い。具体的な事案でみてみると子が親を殺すときにはよっぽどの事情があり、同情すべき場合が多く見受けられていた。最高裁判所は、そうした事情のある事件に関して、親に対する殺人だけを特別に重く罰するというのは一定の価値観を法によって押しつけるものであり、法の下の平等にも反するとして違憲判決をだして一般の殺人罪を適用して軽い刑を適用することがあった。日本の最高裁の数少ない違憲判決のうちの一つである。こうしたことから、平成7年に尊属殺の規定は廃止された。rnrn父の医者としての仕事にあこがれ(少なくとも小学校の作文にはそう書いている)、有数の進学校に通い、勉強もでき、やさしい少年であったようだ。いい子であろうと一生懸命だったのかもしれない。両親が離別して新しい家族関係のなかでほんとうは悩んでいたのかもしれない。逃走中、他人の家にあがりこんでサッカーをみながら寝入ってしまったというその思考が全く理解できない。正に心の闇である。まだ事件の一部しかわからないが、この少年に死刑をと言う声は大きくはあがらないのではないか。昨日話題とした当然死刑にすべきだとの意見が多く出る事件との違いはなにだろうか。死刑という罪をじっくりと考えてみたいものである。

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