弁護士任官裁判官

2007年3月30日

年度末である。裁判官,検察官の人事異動の時期である。地裁所長,家裁所長,高裁支部長,すべて私と同期の26期研修所出身である。年度末は通常は,こうした人事異動があるために法廷の開廷が少なくなる。しかし,なぜか今週はたくさんの事件を抱えていた。今日も「廊下トンビ」よろしく法廷と法廷を渡り歩くこととなった。裁判所が新しくなって高裁も地裁も同じ建物となったため,廊下トンビにとっては動きやすくなった。rnrn今,処置中のアメリカに在住していた人の相続問題で新しく別の関係者からも相談を受けた。アメリカという国は本当にいろんなことがビジネスになる国である。相続人の存在の不明な人の死に関して,民間企業が相続人を調査し,その相続人に相続ができるように手続きをし,その相続財産の40パーセントを報酬として会社が受領するというシステムである。こうして日本にまで相続人の調査にきて手続きをしている。日本では不意に思いがけない相続の連絡をもらうことになる。私の受任は,こうした手続きが米国できちんと適正になされているか否かをチェックして,権利が存在するのであれば確実にそれを取得でるようにすることである。相続関係は日本と同じでないところが興味深い。rnrn夜は,弁護士から裁判官になった人の話を聞く会があった。一人でも多くの弁護士を裁判所に送り込み,当事者感覚のある裁判を実現しようという試みで取り組まれている制度である。キャリアの裁判官と弁護士任官の裁判官のどこが違うと思うかとの質問に非常に謙虚な態度で話が続いていたが「やみ金と交渉経験のある裁判官はいないでしょう。そこからわかるものがあり,合議をしているときもそこが違うのではないですか」との自信をもった答弁であった。裁判官の仕事を楽しみながら,弁護士として培われた目線をもって裁判にあたっている姿勢をみることができ,こうした裁判官がもっともっと増えて欲しいものだと思った。

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