被害者の意見陳述

2007年3月26日

暖かい春の一日であった。事務所で記録の整理や依頼者への連絡文書の作成,やり残している仕事の確認などをした。やり残している仕事の確認は,それによって仕事が前進したわけではないが,改めて確認してリストアップしてみるだけでかなり気持ちが落ち着く。次の一週間でこのリストを一つ一つ消していけばいいのだから。依頼者への連絡文書も,単に期日の状況の連絡をいれるのではなく,公判期日の内容を確認し,残された課題を整理し,次回までの準備事項を確認してその準備の手順を決めるなどの作業が伴う。これも連絡まで終われば,当面の記憶から消していても大丈夫である。rnrnそして,明日の一番にある刑事事件について被告人への質問,証人への尋問,弁論の内容などをどうするかなどを検討した。明日は,被害者の遺族の方がでてきて意見陳述する予定となっていることが事前に知らされた。刑事事件において,被害者の意見陳述はどのような意味があるのだろうか。近く改正が予定されている刑事訴訟法では,被害者に求刑の権利が保障されることになりそうである。被害者は誰でも加害者が憎いのは当たり前である。その意見をわざわざ法廷で陳述させる機会を与え,求刑の権利までも認めようとするのは,刑事法廷を仇討ちの場としてさらに重罰化しようとするものだと思う。被害者が厳しい意見をもつのはあたりまえである。しかし,あえて法廷でわざわざ意見を述べる機会を与える必要はないと私は思っている。刑罰は被告人にいかなる刑罰が適正なのか,被告人が更正するためにはどの程度の刑罰が好ましいのか,客観的な基準で検討されるべきであると考える。こうしたままで,裁判員制度が導入された法廷で果たして冷静な裁判がなされるのか疑問に思えてくる。

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