やはり,問題とされるべきは代用監獄

2007年3月13日

昨日の日曜日は気合いをいれて頑張ろうなどと書いたが実はほとんど頑張らなかった。夜になってやっと夏休みの宿題に8月31日の夜になっても必死で取り組んでいたがごとく2つの課題をこなした。そして,今日は一度も裁判所に出廷するスケジュールがなく,せっぱ詰まっていた仕事を最低限やり終えた。一つ,一つの仕事ごとに依頼者の顔が思い浮かべられ,その人の思いと権利を実現する重い職務であることを考える。一つの仕事からもう一つの仕事への切り替えが難しい。rnrn明日(13日)の朝日新聞に鹿児島事件は典型的な代用監獄の悪用事例ではないかとの記事が掲載されるようだ。事前に取材を受けた弁護士からの情報である。「それでもボクはやっていない」でも自白が作られていく様子がリアルに描写されていた。関係した警察官らは一応の処分がなされ,11日の朝日新聞の社説では「無罪確定ー公安委員会の出番だ」との社説がでて,捜査のあり方を是正すべきあるとの意見がだされていた。rnrn単なる捜査にあたった捜査官だけの問題ではない。このような捜査を生み出す代用監獄の存在自体が問題なのである。実はそのことが忘れ去られようとしている。岡山旧西警察署跡に立派な代用監獄が作られた。女性,少年への人権を配慮した最新の設備であるとしてつくられたのであるが,本来縮小されるべき代用監獄が全国的に大規模に新しく設置されて代用ではなく恒久化されている。そのことがほんとうはもっと問題とされなくてはならない。rnrnそんな議論をしているうちに,弁護士の方にも非難の矛先が向かってきそうである。鹿児島事件のある被告人は,当番弁護士と接見し,否認をしていて被疑者の段階で弁護依頼をしたが,その当番弁護士は忙しいことを理由に断ったそうだ。そうしているうちに虚偽の自白調書を取られたので,その当番弁護士の活動の是非が問われているとのことである。この事件は弁護士過疎の地域での発生であった。そして,へんぴな警察署の代用監獄での出来事であり,誰でもなかなか容易には接見ができない地域であったとのこと。受任しなかった弁護士を一概に責められないが,かといって刑事弁護の実態がこれでいいとも言えない。rnrnもう一つ気になったのは,裁判員制度の理解を進める集会で日弁連関係者が鹿児島事件を例にとって,だから裁判員裁判に積極的に参加しようとよびかけていたことだ。この例は裁判所がきちんと役割を果たした例である。裁判員制度は,今の裁判制度が十分な機能果たしていないことの反省でうまれたものであるというもともとの認識に欠如した例の取り上げ方である。「それでもボクはやっていない」のようにえん罪事件の歴史を裁判所が反省しながら,裁判員裁判の重要性をアピールしなければならないはずである。さらに検察庁は本来,警察の捜査のチェック機関であるにも関わらず,警察の調書を丸飲みにし,さらにこれに念押ししていくという機能しか果たしていなかったことである。この事件は,警察,弁護士,検察,裁判所のそれぞれの抱えている問題をクローズアップしてくれるものであった。rnrnもっとも強く代用監獄の問題性を告発し続けなければならない弁護士会が,代用監獄の業務時間外でも弁護士の接見は認めるなどみかけのサービスの良さにごまかされて,その問題性を忘れかけていることが最大の問題である。明日の朝日新聞の記事は,改めて代用監獄の問題性を指摘するものであることを期待している。

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