広島高裁岡山支部

2007年2月24日

岡山弁護士会の定期総会があった。司法改革の制度設計を終え,これが実行の時代にきたと言われているが,「法テラス」が昨年秋から業務を開始し,2年後から始まる裁判員裁判に備え,弁護士会の委員会構成の変化や,関連規則の変更などが審議された。会則変更に必要な定足数は過半数であり,200人以上と急激に増加した会員数のため100人は超える出席者が必要である。ここまでになると会員の名前をすべて覚えるというのは難しくなり,会の一体感が薄まってきているように思う。会員の急速な増加は,弁護士自治の意識にも微妙に影響していると思われる。予定の時間を大幅に超えての審議が続いた。rnrnこの定期総会で,広島高等裁判所岡山支部の充実,存続を求める決議がなされた。現在,特に廃止の動きがあるわけではないが,このような決議が今なされることには実は深い意味がある。単県だけを管轄する高裁支部は沖縄をおいては岡山だけである。本庁のある広島まで新幹線で1時間かからない距離にある。大阪でも同様の時間である。岡山地裁津山支部まで車で1時間30分とかかるいことと比較すれば廃止されて高裁は広島に行けといわれても仕方のない地理的位置にある。最高裁は,効率重視の考えから全国の地裁,高裁の支部を統廃合してきた。弁護士会は,身近な司法であるためには効率化を求めての統廃合には強く反対してきた。その結果,沖縄と岡山だけになったのである。岡山が残ったのは長い歴史がある。岡山県民が多くの犠牲を払いながら存続させてきたのである。過去何度か廃止の危機があった。古くなった高裁支部の建物があった地域が県の文化ゾーン整備計画がもちあがった時は,私も既に弁護士であった。この古い建物は取り壊しとなったが,地裁の隣に高裁支部専用の建物を建てさせ存続した。この動きにあわせて弁護士会館を裁判所の一角に建築した。そして今回の裁判所合同庁舎の新築で,まだ新しい高裁支部の建物は取り壊されることになった。新庁舎に高裁支部が移り,この支部廃止の危機も乗り越えた。しかし,大きな流れでいえば,いつ高裁支部の動きにつながるやもしれない危険は常にある。そのためあえて過去の経過を確認し,高裁支部の充実と存続を求める決議を新庁舎の供用の開始にぶつけてすることとなったのである。rnrn最高裁とすれば岡山はなにかとうるさいと思っているだろう。法曹界では昔から「岡山はむつかしいところである」といわれている。私も研修所時代に教官からそのように言われた。とにかく理屈っぽいことをさしていたようだ。当時の民事裁判の教材(我々は白表紙と呼んでいた)となった境界争いの元の事件は岡山地裁津山支部の事件であったとのことである。「山のつくところは難しい。岡山の津山は特にむつかしい」などと言われた。岡山に住んでいる我々でさえ,津山はむつかしいなどと言っている。このように最高裁から煙たがられるのは名誉なことである。しかし,最近は転勤で去っていく裁判官からは「岡山は難しいところだと言われてきたが,そうではなく楽しく仕事ができました」などと挨拶をされることが多い。いや,裁判官に対しては常に難しいところでなければならない。

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