犯罪被害者の権利

2007年1月31日

法制審議会は、被害者が刑事裁判手続において意見をいうことのできる権利などを認めた刑事訴訟法の改正案をとりまとめ、政府は今国会での成立をめざすそうだ。rnrn犯罪被害者の権利ってなんだろうか。被害者が復讐する権利だろうか。被害者と同じ被害を加害者に与える権利なのだろうか。被害者と同じ思いを加害者にもさせる権利なのだろうか。rnrn一方、刑罰の本質はなんであろうか。刑罰によって被害者と同じ目にあわせることだろうか。犯罪から被告人を社会から隔離して社会を守るという社会防衛だろうか。見せしめで次の犯罪を抑止するためだろうか、今後決して加害者となることのないように刑罰を通じて社会復帰できるように教育することだろうか。rnrn刑罰を言い渡す刑事手続きは、憲法にのっとって詳しく規定されている適正な手続き規定に基づいてなされなければならないことは、憲法上保障されている基本的人権のひとつである。近代国家が形成されて相当の期間を経過した現代では、とっくに刑罰は仕返しが本質ではないという概念は克服されていたと思っていた。しかし、最近のマスコミを含めた取り上げ方は刑罰を見せしめの公開磔の場としようとしている。裁判員制度の運用が始まろうとしているとき、冷静な刑罰の本質についての考察が必要ではないか。無抵抗の家族達を多数殺されたアーミッシュがその殺人者を許した心を我々が持つ必要はない。悲しみは大きく、怒りは限りない大きさであって当然だ。しかし、その殺人者をみんなで人を殺したものは死刑にしろと国家による殺人を声高に叫ぶということを刑事裁判手続に入れることが正義だとは思えない。罪は冷静に国家の刑罰権の発動として評価されるべきである。キリストの磔に民衆がここぞとばかりに石を投げつけている図とどこか似ている。

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