やはり格差社会

2007年1月29日

1月は、弁護士会のサラ金、クレジット相談を2回担当した。この相談は、担当する弁護士もボランティアであるが、相談も無料である。相談者が、既に経済的破綻に陥っている場合が多く、弁護士へのアクセスを容易にしようと従来は原則有料であったものを無料化した。そのことが話題になり、マスコミにも報道された効果もあって、相談予約は1週間先まで満杯の状況である。rnrn1日の相談枠は6コマあり、2日の担当であったので、この相談だけで12人の相談を受けたことになる。ここで相談を受けた人の事件依頼は、原則として断ってはならないことになっており、費用の支払いも本人の経済的状況を理解し、分割払いなどの便宜を図ることになっている。この12人のうち、その後私の事務所におそらく8人ぐらいの人が事件依頼にきたと思う。一人の人が8社との取引があったとしても、交渉相手が64社となる。この64社との債権確定手続きをし、任意整理であれば和解交渉が続くことになる。過払いが判明すれば過払い請求となり、訴訟まで手続きが進むことが多い。こうした、作業の多くは事務局に依存することになる。もはやわが事務所はパンク状態だ。中にはパチンコなど遊興費への出費が経済破綻に陥った理由の場合もある。しかし、そんな例は多くはない。ほとんどの人は、生活費の一時的穴埋めでサラ金を利用し、その高利率の利息が支払いを圧迫し、さらに借り入れが増えるというパターンだ。こうした相談が連日弁護士会の窓口をはじめ、様々なところに押し寄せている。rnrn今日は日曜日ではあったが、弁護士会での相談者から自己破産申し立の事件依頼があり、仕事を休むと収入が減り生活がさらに苦しくなるということなので依頼者の休日である日曜日に相談を受け付けた。3才くらいの子どものいる3人家族で、夫婦での破産宣告の申し立ての準備である。その子どもは両親が相談しているとき、静かにその席を離れて一人でおとなしくしていた。「お利口だね」というとこの子は一人の時が多いので一人で遊んでいることに慣れていますからと母親の言葉に、一瞬その家庭での子どもに構っていられない状況があるのだとはっとさせられた。今日の依頼者ではないが、やはり日曜日に2才ぐらいの子どもを連れた夫婦の相談を受けていたときは、結構相談している両親の間にはいってきてなかなかじっとしていなかった。叱られながらではあったが、それでもなんとか相談を終えたので、「よく我慢できたね」と声をかけた。するとその子はまだ余り話せない様子なのに「どうもすみません」とはっきりといい、頭をさげたのであった。とても子どもとはおもえないしっかりとした仕草に感心するともに、いつも両親は「どうもすみません」ということを子どものまえで言い続けなければならない生活になっているのではないかと思われ、悲しい気持ちになった。延滞した利息の集金人に「どうもすみません」と頭を下げて言い続けている両親から覚えた言葉と仕草ではなかったろうか。格差社会と言われる事実がここにある。

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