無理して受任した国選だが

2007年1月20日

先日、無理をして国選事件を受認した。司法修習生に刑事事件の捜査段階からの手続きを体験してもらいたいと思っていたからだ。無理という意味は、かなり日程がつまっていて、新規の刑事事件を受ける余裕がなかったということとこの国選事件は私選弁護士が辞任し、新たに選任された国選弁護士が解任された後に引き受けることになるものであり、その間にどんなやりとりがあったか予測がつかないというより、なにか面倒なことが隠されていることを伺わせる事件であったからだ。rnrnところが、この事件を引き受けたとたんかつての依頼者が事件を起こし、逮捕されるということがおきた。早速休日ではあったが、接見にいき、被疑者の勾留が続くなか被害者との示談交渉をしている。示談が成立すれば罰金で処理されることになることは検察官との交渉でもほぼ明らかとなった。これも時間との勝負である。こんな事件がやってくるなら、あえてややこしそうな(だれも受け手がなく、登録名簿に基づいて担当者が受任を懇請してきた事件でもあった)国選事件をひきうけるべきではなかった。悔やむのはこれだけではない。こんどは別の在宅事件(身柄拘束のない事件)の刑事弁護を受任することになった。私の実家のある地域の人からの相談であったのでこれも断れなかった。rnrn国選事件については、昨日倉敷の裁判所にでかけて、既に2回の公判を終えていたので、その進行状況を確認し、さらに検察庁でこれから提出予定となっている開示された証拠の閲覧をおこなった。そして今日はまだ警察に留置されている被告人に接見にいくことにしていた。ところがである。その被告人は、その警察の代用監獄から拘置所に本日移監されたのである。本来、起訴されれば速やかに拘置所に移されるべきである。捜査のなされている間でもできるだけ警察の代用監獄におくのではなく、捜査官の支配下にない拘置所に置くのが国際的人権基準からすれば当然である。拘置所の方が事務所から近い。しかし、場所的には近くなったが、都合からいえば不便になった。この被告人とは本日の夜に接見にいこうと予定していた。修習生を伴っていこうとあらかじめ予定し、修習生には接見の体験をしてもらうことにしていた。警察の代用監獄はいつでも接見を可能にしてくれる。警察はいつでも捜査できる状況にあるのであるから、弁護人もいつでも接見できる状況にあって当然だからである。しかし、拘置所は通常のお役所の執務時間内でしか接見ができない。休日などはもってのほかであり、午後5時をすぎてなどの接見はよほどの理由がなければ許されない。捜査官の手から離れたという法的立場は確保されたが、弁護人が接見する都合だけからいえば不便になったといえる。拘置所も広く接見を認める工夫が必要であるといえる。rnrnこんなところで、新年早々仕事に追われるペースに逆戻りしてしまった状況下でさらに時間との勝負の刑事事件を抱えるはめになってしまったのである。

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