兄が妹を殺害し、死体を損壊したというおぞましい事件が報道されている。その報道の直後に妻が夫を殺し遺体をバラバラにして捨てていたという衝撃的なニュースが続いたために前の殺人事件はあまり目立たないようになってきた。こんなニュースが飛び通っていた先週のある日の一日は、いずれも兄弟間の争いが根底にあるものであり、それぞれが遺産の相続がからむ事件で終わった。津山での事件、広島高裁岡山支部での事件、高松での事件の打ち合わせと続いたのであった。同じ両親を持つ兄弟は、同じ世代に生きているために互いの生活は並行線で交わることが少ないが、同じDNAを持っている血のつながりがあるために互いに無関心でいられず、触れあうことになれば強い拒否感、不信感を持つようになることがある。そしてたいがいその距離は容易に埋まりそうにないのである。しかし、そうした兄弟が殺人事件まで起こすようになるには、もっと違った何かがあると思われる。rnrn私の担当したその3件は、いずれも精神的には解決の方向に向かっているようにも思える。津山の件は小さなことから不信感につながり、それが訴訟までに発展したが、誤解に気付けば元にもどりそうな関係であると思わされた。高裁の件は既に6年ぐらい裁判が続いていて、そろそろ和解をしようかという動きがでてきた。とても意外な感じを抱かされたのは、高松の事件についての打ち合わせの時であった。弟の事業の保証人となって、結局は相当な資産を全て失ってしまいかねない状況に陥っている兄からの依頼事件である。弟のことは決して良くは言わないのは事件の筋から言っても当然である。しかし、ふと弟のことが気がかりだと言うのである。「自分は全資産を失っても仕方がないと覚悟はできている。そして、そうなれば親族の人たちは私には同情してくれるだろう。しかし、弟はみんなから責められる立場にたつことになる。そんな立場に陥らせたくない。そのためにもこの事件を和解で終わらせたい」としんみりというのだ。兄弟のすさまじい事件の報道がなされるなか、兄弟間の紛争に関する事件を担当し、殺伐としたものを感じていたが、血のつながりがあるということは逆に赦しへのつながりも持てるのではないかとも思った。ほっとした兄の言葉である。この事件は銀行相手の事件であるが、今日期日があり、困難な状況下で、銀行側もなんとか和解で終えたいとの意向を強くにじませ、全体的に良い方向での解決も見込みなきにしもあらずという感触である。しかし、難題はまだまだ、、、、。
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- カルト被害を考える会 に 田所眞紀 より
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兄弟の紛争
2007年1月6日
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