またまた「えっ、あの人が」

2007年1月14日

もう20年近く前の依頼者である。活魚を市場で仕入れ、それを高く売れる市場に運んで売るという商売をしていた人であった。この人の依頼で三重県の津の方まで出張して事件を処理したことがあった。そのころ、大晦日になると、とろ箱にはいったはまちとか鰤とかその人から自宅に届けられていた。実はとてもそのようなものを捌く技術も道具も持ち合わせのない者にとってはそれからが大変であった。日頃あまりつきあいのない近所の魚やさんに持ち込み、調理をしてもらうのである。そして、田舎の両親のところなどに届けていた。こんな豪快な人であったが、私と同年輩の方であったのでなんとなく親しみを感じていた。rnrnそして、突然の奥さんからの夫が逮捕されたとの電話である。事情はよくわからないが、酒に酔ってのけんかであろうとのことであった。突然に舞い込んできた刑事事件で、これはちょうど修習生の研修にもなると考えたが、修習生は休日の日の接見となってしまって同行することはできなかった。なかなかうまくはいかないものだ。警察署に夕方接見にでかけた。接見室のアクリル版を隔てて久しぶりに会った彼は、当時の若さはなく、髪は白くなり、肌の張りがなく年の経過を感じた。相手も同様に私を見て変わったと感じていただろうと思う。既に前の仕事は辞めて別の仕事をしていた。仕事そのものから威勢のよさを感じていたが、その勢いは感じられない。ストレスをためての悪酔いしての事件だったのだろうか。相談にこられた奥さんと娘さんもそうした状況を気遣っているようであった。元気が良すぎてかつて民事の問題を起こして私が処理してきたのであるが、今度は刑事事件として被害者・検察官との交渉など民事事件とは違った期限に制約される不規則な職務をこなさなければならなくなった。実は修習生の刑事弁護用にとあえてややこしそうな国選事件を引き受けた。この処理が大変だなと思っていたところこの事件である。あの国選は断ればよかったかと実は悔やんでいる。

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