捜査段階の弁護人の役割

2006年6月14日

友人が連日深夜まで任意出頭で警察の調べを受けている。逮捕の近いことを本人は感じているらしい。早朝に毎日不安な心境を伝える電話がある。rnrn彼が一番に質問したのは、私を弁護人に選任して、一緒に取り調べに立ち会ってもらうことはできないかということであった。日本では、捜査に弁護人が立ち会うという制度はない。ひとりで捜査官に立ち向かうしかない。rnrn私から彼に伝えたことは、逮捕されてからの身柄に関する手続きである。裁判官の発布する令状に基づいて逮捕して72時間以内に検察官に身柄を送らなければならない。身柄送検といわれることである。検察官は捜査のために10日間以内の勾留請求を裁判官にすることができたいてい目一杯の10日間の勾留が認められる。さらに必要であればもう10日間の勾留がなされ、その日までに起訴しなければ釈放しなければならない。起訴されれば勾留は継続され、保釈の対象となるが、現実的には保釈は初回公判で認める答弁をしない限りそれまでは認められることはない。人質司法といわれるゆえんである。こうしたことをきちんと最初に話しておくことは極めて重要なことである。身柄拘束には時間的制限があるのである。捜査官に迎合した供述をしない限り、身柄がいつまでも拘束され続けるとの誤解から迎合した虚偽の供述をしてしまうことを防ぐためである。これを後に法廷で争ってもまず覆すことが困難であるということを知っておくべきだ。どんな人でも親族らとの接見禁止がなされ、勾留が続けば身柄についての不安感が増してくる。rnrnそして、供述する以上は真実を述べること、虚偽の事実をいうとつじつまが合わなくなり、逆に墓穴を掘る供述をすることになるからだ。虚偽の事実を述べるよりは黙秘をすることを勧める。黙秘権は憲法上の権利だ。黙秘権を行使することによって不利益に扱われることはない。しかし、黙っておくことは現実には非常に難しい。rnrnところが、検察官は弁護人は嘘をつくように被疑者に勧めたり、証拠を隠滅するように指示するものと思っているらしい。検察官をやめて弁護士になった人の中には、弁護人の役割をそのように理解して活動をし、問題となることがある。証拠隠滅工作に加担するなどのことはたとえ弁護人であっても赦されない。適正な手続きで刑事手続きを受けるというのは基本的人権のひとつであり、われわれ弁護人はその監視約なのである。それ故、たとえ死刑囚のような人であっても弁護をするのである。rnrn明日の朝も「警察の言うとおりに合わせないといつまでもこんな状況が続くのだろうか」と不安を訴える電話をしてくるだろう。そして毎回、「あれは嘘でした。身柄がいつまで拘束されるかわからない不安にかられ、警察官の言うとおりにしましたが、実は真実ではありません」と公判でいってもこれを修正することは不可能に近いとの説明を繰り返すことになるだろう。

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