医療過誤死亡事件で最終段階の示談交渉事案があり、賠償額の詰めをしている。この件では医療側が過失を認めたため、現段階では損害額についてのみの交渉となっている、法律家からみれば、命の価格を計算するのは普通の場合、簡単な作業である。このことは弁護士活動のなかで何度もしてきた。しかし、ふと考え込んでしまうことがある。rnrn死亡の損害額は、その人の生きていれば得ることがあったであろう利益、つまり逸失利益と単身者か一家の支柱であったかの違いによって生じる慰謝料の合計額なのである。逸失利益の求め方は計算方式がある。こうした作業によってほぼ自動的に計算される。生前に多額の収入があり、若ければ逸失利益の額は高額となる。従って、損害賠償額があがる。当たり前のことではあるが、こうして命の値段が経済的側面から決まってくる。一方、遺族にとってみれば、経済的側面では測ることのできない損害がある。こうして命の値段を交渉していることさえ、依頼者は非常に悲しい思いをされる。rnrnこの件の依頼者も交渉過程と和解提示の金額の意味を説明すると、ひとこと「本人が可哀想」という感想をもらした。つまりは失った命がもとに戻るわけではないので、全てを金銭評価せざるをえない。この方法しかないことは百も承知ではあるが、何気なく計算をして処理していると遺族の方の気持ちを傷つけてしまいかねない。経済的側面が強調される損害額の交渉において、それぞれの方の命の重みと遺族の方の悲しみとを理解しながら対応していかなければならないと思わされた。
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- カルト被害を考える会 に 田所眞紀 より
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命の値段
2006年12月22日
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