ドイツの愛国心

2006年6月11日

ドイツでワールドカップが始まった。土曜日と日曜日は名古屋での国際奉仕団体ワイズメンズクラブ(YMCAの活動を支援し、奉仕を目的とする会)西日本区大会に出席していたが、ホテルでは深夜までテレビを観てしまった。rnrn大会の開催されているのはドイツである。ドイツは、太平洋戦争後東西に分断され、1961年にはベルリンの壁が一夜のうちにつくられ、1989年11月にこの壁が市民の力で崩壊した。そして、それから2年後国家としても統一された。同じ民族、同じ言語をしゃべり同一の国家を形成していた国家がいっしょになったのであるから、なんらの違和感無くアイデンテティを持ちうるし、あふれる熱情が実ったのだから、自然とわきでてくる愛国心も強いものがあって自然だと思う。rnrnしかし、事実は違うようだ。1992年6月にベルリンを訪問したことがある。西側のベルリンをでれば雰囲気は明らかに違っていた。トラバントという大衆車が黒煙をあげて走っていた。事情を知らない訪問者にもなんとなく東なのかとおもわされた。自由主義経済になれない東の人たちをターゲットにした悪徳商法がはびこっていた。その後戦争の責任を徹底的に自ら問い続けてきたドイツにもネオナチの活動が活発になったりした。経済の低迷のなか移民の人たちに対する排外的な動きもあった。そして、ヨーロッパは、もはや言語の壁をも超えて従来の国家概念を超えたヨーロッパ連合(EU)へと大きく変革をしてきている。いまドイツのひとたちほど国家とは何かを考えさせられている人たちはいないのでないか。さらに、戦争をあれほどまでに反省しながら軍隊をイラクに出さざるを得ない状況となった。国家ということを常に問い続けられてきた歴史豊かなヨーロッパのなかのドイツ、ゆっくりと旅をしてみたいところである。rnrn日本では、戦争の責任さえ当初からあいまいに解決し、昨今の動きは政府の指導者までが戦争は悪くなかったかのごとき言動がみられる。首相をはじめとして靖国神社参拝を是とし、憲法改正への動きを具体的政治日程として、平和憲法を担う次世代の国民を育てることを目的とした教育基本法を改正しようとしている。その中には「愛国心」が定められるようである。もう一度、「愛国心」「国家」とは何かをじっくりと考えてみたい。ワールドカップをみながら単純に「ニッポンがんばれ」と思う気持ちはどこに根ざすものか国家を考える材料としてみつめてみたい。

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