世相それぞれに

2006年12月1日

朝一番は、倉敷での農事調停事件であった。戦前から借地での農業を続けていた。しかし周辺はどんどん宅地化していく。市街化区域へと変わっていく。それでも農地への執着は強い。一方地主は固定資産税の方が地代よりも高くなり、転用してマンションの建設を計画している。地主は離作補償は土地でと耕作が少しでも可能となるよう執着する。一方、地主はあくまでも経済的に効率のよい運用を考え、一定の金銭で解決しようとする。双方が譲らぬ主張を繰り返し、ついに不調で終わった。これからは農業委員会に舞台を移し、行政手続きのなかで争われることになる。耕作者はもはや一人ではとうてい農業をやっていけない状況である。周辺の農地は消滅しつつある。マンション、ケアハウス、飲食店などが建っている。倉敷市の中心部のある風景である。rnrn午後一番はオンブズマンが起こしている岡山市の元責任者に対する高裁の事件に関しての弁論手続きであった。私は1審敗訴となった控訴審からこの市の元責任者の代理人として参加している。オンブズマン活動にはいままで協力することもあったが、この訴訟に関しては、オンブズマンの主張には賛同しがたいところがある。国のタウンミーティング、地方自治体での裏金つくりなど最近行政の無駄遣いの報道に触れることが多いが、本件の場合いくぶんおもむきが違う。誠実に市政を担当してきた者に対して、国の考え方と市の実務とが異なっていたが故に生じた出来事に関して何億ものお金を支払えという内容である。市民の目線で糺さなければならない行政を糺すオンブズマンの活動は今後も応援したいとは思うが本件は少し違うと思う。そんな感覚から本件訴訟をお手伝いすることになった。rnrnそして、子どもたちの喧嘩を材料に親が損害賠償請求をしてきた事件について、和解が成立した。子ども抜きで暴力団関係者までが関与しての請求があったうえでの訴訟であった。法的に正当に評価される以上の金員は絶対に支払わないと主張し、150万円の請求に対して10万円支払うことで和解となった。双方とも当事者の姿がみえない事件であり、なんとなくスッキリしない事件であったが、相手方も請求できる範囲がどんなものか理解はできたのではないかと思う。事件を通じても会うことのなかった本当の当事者であるそれぞれの子どもたちが充分に心の傷をいやして成長して欲しいと思わざるをえなかった。rnrnそして、刑事事件の2時間にわたる打ち合わせである。被告人と弁護人との認識を共通化していくことが必要であり、被告人の考えを辛抱強く聞く忍耐を必要とされる。合間に別の事件で貸金業者とのやりとりが続く。法律事務所は、世相がそのまま反映されてくる。

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