当番弁護士と自由競争

2006年6月10日

ほぼ2年間無罪を争ってきた刑事事件の判決があった。裁判長は1時間40分もの間早口で判決書の原稿を読み続けていた。その締めくくりは、社会に対して重大な影響を与え、なんらの反省のない被告人の刑事責任は重いと言う言葉で締めくくられた。無罪を主張しているのだから反省がないと言われても仕方がないが、弁護側の主張が一顧だにされなかった無力感を味わった。いろいろと感想があるが、これからまだ控訴される事件であり、弁護人として秘密を公表することになってはならずふれないこととする。rnrn秋田の死体遺棄事件は、豪憲君の殺害を認める供述がはじまったようであり、弁護人からその内容について詳細に発表されていた。おそらく、その弁護人は当番弁護士ではないかと思われる。被疑者段階では、国選の弁護人が就くことは現段階ではない。国選弁護はあくまでも起訴された後のことであり、被疑者の段階では自分の費用で弁護士を任意に選任することができる。しかし、冤罪を防ぎ、被疑者の権利を守るためには捜査段階こそ弁護人がつくことが必要である。そうしたことから今年の秋から日本司法支援センター(法テラス)の発足に伴い、一部の重要な犯罪については被疑者段階から国選弁護が就くことになった。畠山被疑者には日弁連が全国の会員が特別会費を支払った基金によって運用されている当番弁護士が対応しているものと思われる。弁護をこれからしていく立場からは、被疑者との接見の内容を公表することは差し控えるべきことである。しかし、社会的な注目を集めている事件であり、激しい取材活動がなされるなかで、弁護士は一定のことを公表することを事実上強制されてしまっている。ほんとうは、法廷のなかで明らかにされるべきことであろう。もっとこうしたことにマスコミ、社会は理解をもつべきではないかと思う。rnrnさて、被疑者国選がはじまっても支払われるその費用はわずかであり、今までの国選事件と同様、弁護士の経済的負担のなかで維持される制度である。今までは、国選弁護を引き受けるのは弁護士としての義務であり、社会的責任を果たすためであると言い聞かせて犠牲的精神で取り組んできていた。しかし、国の政策として、弁護士の数を飛躍的に増加させ、仕事からあぶれる弁護士が国選事件をたくさんこなして、単価をやすく仕上げる方法によって、刑事司法を維持しようとしているのである。それでも、被疑者の人権がしっかりと守れて、質のたかい刑事司法が維持できるよう弁護士会では秋からの被疑者国選実施に備えて会内の体制作りの検討が進んでいる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2021年10月
    « 5月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031