「受胎告知」

2007年5月18日

今日は午後から東京で用務があった。どうせ上京するならと朝一番の飛行機で上京し、午前中にダ・ヴィンチ展を観てきた。数少ないダ・ヴンチの作品の一つである「受胎告知」が今日本にきている。おそらく生涯もうこの絵と会うことはないだろう。

ダ・ヴィンチの生涯にはベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」の映画化などもあり、興味を持たされてきた。小説を読み、映画を観て、ルーブル美術館まで旅までしてきた。今回の絵はそうしたこともあってこの絵を見ることを楽しみにしていた。真実を描こうと描く対象を徹底的に観察し、思考をめぐらし、真実に迫ろうとしていた。植物の詳細な記載、衣服の質量感、空気という物質を考えての遠近の違い、細部にいたるまで自然科学者の目で迫っている。

そうした鋭い、コンピューターのある世界に生きていたならきっと天才科学者と言われたであろう洞察力で「受胎告知」というテーマをどのように考えて絵にしたのだろうか。物語として描いたのか、史実として描いたのか、信仰心をもって福音として描いたのだろうか。それともダ・ヴィンチ・コードで示唆されていたように聖杯の行方に思いをいたしていたのだろうか。受胎告知は多くの歴史的画家がこのテーマに取り組んで描かれている。大原美術館でも有名なエルグレコの受胎告知がある。それぞれマリヤの受胎告知を受けたときの表情に違いがある。ダ・ヴィンチのそれは厳粛な雰囲気を漂わせ、その告知を冷静に受け止めている図が描かれている。このような構図で描き、このようなマリアの表情にしたのは確たる聖書の解釈に基づくものであったに違いない。

明日は、実は札幌である。札幌での会議にでる予定で、東京からそのまま札幌にはいる。

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