クレ・サラ問題の根深さ

2007年5月24日

午前中は岡山簡易裁判所で,午後からは岡山地裁倉敷支部で,消費者金融会社相手の過払い請求事件(利息制限法より高い利息を支払ってきていたため,払いすぎにになっていた金額を取り戻す)があった。いずれの事件も破産宣告申し立て事件として受任したものではあるが過払い額が多く,手元にお金が残るようになりそうなケースである。

こうしたことが起こるようになったのは昨年1月に最高裁判決によって,利息制限法を超える金額を支払ってきた場合は,適正に再計算をして返金すべきで性質のものであるとの判断がでたためである。年間20数万件を超える自己破産宣告事件がとどまるところをしらず増加の一途をたどっていたことの異常性を最高裁も放置できないと極めて厳格な法解釈のなかで消費者金融のありかたを問うたものであったといえる。この判決によって昨年から私の事務所におけるクレサラ事件にも変化が生じた。破産の依頼を受けても慎重に債権調査をし,厳格に債権額をチェックし,過払いがある場合にはまずこれを処理することから始める。結果,過払い額が多額となって自己破産をしなくてもよくなることがしばしば出てくるのである。

このように多額の金利を支払って来ていた人の生活はとっくに経済的破綻をきたしてしまっている。経済的のみならず,職をうしなったり社会的にも破綻してしまっている場合も多い。過払い請求をしたところで生活が元に戻るわけではない。今日のNHKのニュースではサラ金の貸し渋りがあり,その結果やみ金被害が増えていると伝えていた。利息制限法いっぱいの利息で貸し出すとしてもそのような金利を支払ってもともと生活が維持できることがおかしい。本来であれば借りないですませなければならない。しかし,経済構造的にはこうした金利でも融資を受けなければ生活できなくなっている人も発生している。本来は公的援助制度が充実されるべきである。消費者金融を規制するからやみ金が増え,もういちど規制を元にもどすなどという議論につなげてはならない。経済基盤の崩壊はその人の人格までも貶めてしまう。殺伐とした社会の原因はこうした社会構造にもあるのではないか。

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